長期優良住宅の認定条件を解説!メリット・デメリットと向いている人とは?
皆さんは長期優良住宅という言葉を聞いたことがあるでしょうか。長期優良住宅とは、長きにわたって、快適で安心、安全に暮らしていくことのできる住宅のことを指します。では具体的には、どのような基準で決められているのでしょうか。
こちらの記事では、長期優良住宅のメリット・デメリット、その認定基準などについて詳しく解説したいと思います。長期優良住宅を建てるべきか悩んでいる方は、ぜひ理解を深めていただけたらと思います。
長期優良住宅の認定条件

長期優良住宅とは「長期優良住宅の普及促進に関する法律」で定められています。簡単にご説明すると、長い期間にわたって安心で快適に暮らすことが可能な住宅となります。
長期優良住宅であると認定を受けるためには、認定基準を満たすことが求められます。国土交通省が定めたルールで家を建て、所管行政庁に正しく申請することで認定されます。
では、認定されるためのそれぞれの条件を詳しく見ていきましょう。
【戸建て・共同住宅共通】劣化対策

劣化対策については「数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること」が条件となります。劣化対策等級3相当の耐震性を持つことが求められます。また、木造住宅であれば床下及び小屋裏の点検口を設置することや、床下空間に330mm以上の有効高さを確保することが条件となっています。
鉄骨住宅では、柱、梁、筋かいに使用している鋼材の厚さ区分に応じた防錆措置がなされていることが基準となります。
【戸建て・共同住宅共通】耐震性
耐震性については「極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること」と定められています。耐震性の基準をパスするためには、次の項目のいずれかひとつの措置が講じられていることが条件となります。
● 耐震等級(倒壊等防止)等級2(階数が2以下の木造建築物等で壁量計算による場合にあっては等級3)
● 耐震等級(倒壊等防止)等級1かつ安全限界時の層間変形を1/100(木造の場合1/40)以下
● 耐震等級(倒壊等防止)等級1かつ各階の張り間方向及びけた行方向について所定の基準に適合するもの(鉄筋コンクリート造等の場合に限る)
● 品確法に定める免震建築物
【戸建て・共同住宅共通】省エネルギー性
省エネルギー性については「必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること」が条件となります。また、省エネ法に規定された基準(次世代省エネルギー基準)に適合していることも必須です。
断熱等性能等級については5以上を保持することを求められ、なおかつ一次エネルギー消費量等級については6を保持することが求められます。
【戸建て・共同住宅共通】居住環境

居住環境については「良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること」が定められています。具体的には地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、これらの内容と調和を図ることとされています。
なお、こちらは所管行政庁が審査することになっています。所管行政庁によって基準が違いますのでご注意ください。
【戸建て・共同住宅共通】住戸面積
住戸面積については「良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること」が定められています。2人世帯の一般型誘導居住面積水準とされている75㎡以上が必要になります。
少なくともひとつの階の床面積が40㎡以上であることが条件となっています。しかし、その地域の状況によって引き上げたり引き下げたりすることが可能です。
【戸建て・共同住宅共通】維持保全計画
維持保全計画に関しては「建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること」と定められています。維持保全計画の中に記載しなくてはならないのは、構造耐力上主要な部分と、水の浸入を防止する部分、給水・排水の設備です。
これらは、少なくとも10年ごとに点検を実施しなくてはなりません。また、地震や台風など災害が起きたときには臨時の点検も必要となります。
【戸建て・共同住宅共通】災害配慮
災害配慮については「自然災害による被害の発生の防止又は、軽減に配慮されたものであること」と定められています。
災害発生のリスクのある地域について、そのリスクの高さに応じて、所管行政庁が定めた措置を講じることが求められます。また、こちらは申請先の所管行政庁に確認することが必要となります。
【共同住宅のみ(一部戸建て含む)】維持管理・更新の容易性
維持管理・更新の容易性については「構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること」が条件です。
詳しくは「構造躯体等に影響を与えることなく、配管の維持管理を行うことができること」そして「更新時の工事が軽減される措置が講じられていること」が必要となります。
【共同住宅のみ】可変性
可変性については「居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること」が条件です。こちらは、戸建て住宅への適用はありません。
【共同住宅のみ】バリアフリー性
バリアフリー性能については、「将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること」が条件とされています。こちらは、戸建て住宅への適用はありません。
長期優良住宅のメリット

長期優良住宅を建てることで様々なメリットを受けることができます。細かく見ていきましょう。
住宅ローンの金利優遇
長期優良住宅を建てるメリットとして、金利等といった税の部分での優遇を受けられることが大きなメリットとなります。まずは住宅ローンの金利優遇です。
フラット35と呼ばれる住宅ローンは、長期優良住宅を保有していれば、フラット35Sと言うプランで組むことができ、税制面で優遇を受けることができます。建ててから初めの10年間は金利が0.5%低くなるなど、お得なローンとして利用できます。
固定資産税の減税期間延長
住宅を持っている人は、誰しも払う義務のある固定資産税ですが、長期優良住宅を保持していれば、こちらの固定資産税の減税期間が延長されます。一般住宅の場合は、減税期間が3年間となりますが、長期優良住宅では現在期間が5年間となっています。
新築住宅の固定資産税額は「課税標準額×1.4%」で計算されますが、税額の2分の1が減税されます。(この計算方法は、2026年3月末までに住宅を取得した方となっています。)
登録免許税率の引き下げ
長期優良住宅を持っていると、登録免許税率も引き下げられます。新しく住宅を建てた場合、登記と言う作業を行うことになりますが、その際に税金がかかります。
登記免許税の計算方法は、課税標準×税率で算出されます。本来であれば0.4%の税率がかかるところが、長期優良住宅であれば0.1%の税率で良いことになります。(この計算方法は、2027年3月末までに住宅を取得した方となっています。)
不動産取得税の減税
新築住宅を建てたときには、不動産取得税と言うものもかかってきます。不動産取得税は「取得した不動産の価格(課税標準額)×税率」で計算されますが、長期優良住宅であればこちらの税も減税されます。
課税標準からの控除額が決まっており、一般住宅なら1200万円ですが、長期有料住宅であれば1300万円となります。(この計算方法は、2026年3月末までに住宅を取得した方となっています。)
所得税の減税
所得税においても、長期優良住宅では、住宅ローン控除にて優遇が受けられます。住宅ローン残高の0.7%が所得税から控除してもらえることになっています。
住宅ローン控除は、省エネ基準適合住宅であれば3,000万円(子育て世帯・若者世帯は4,000万円)が上限金額になりますが、長期優良住宅の場合は4,500万円が上限金額となります(子育て世帯・若者世帯は5,000万円)。(この計算方法は、2025年12月末までに住宅を取得した方となっています。)
地震保険料の割引
地震保険料の割引も受けることができます。地震の揺れによって起きてしまった被害に関して支払われる地震保険ですが、長期優良住宅を保有していた場合、その金利は安くなります。一般住宅を持っているよりも安い金利になるのでとてもお得です。
具体的にご説明すると、耐震等級割引というものがあり、高い等級を持っていればいるほど割引率が良くなると言うものです。例えば、耐震等級2を保持していれば30%の割引、耐震等級3を保持していれば50%の割引になるといった具合です。
ただしこちらの保険料については住んでいる地域などによっても差がありますので、よく調べてみてください。
長期優良住宅のデメリット

では、長期優良住宅を建てることでデメリットはあるのでしょうか。建築に際してのデメリットをご紹介いたします。
コストの増加
長期優良住宅を建てることのデメリットの1つ目は、コストがかかりすぎてしまう可能性があることです。長期優良住宅と認定されるためには、認定基準を満たす必要があります。
先ほど記述した項目のように、耐震性能をアップさせることや、省エネルギー性能を保持していくこと、劣化対策を整えた住宅にすることなどを考えると、おのずと金額はアップしてしまいます。その性能を全て入れるための建築構造や、材料費、人件費等がかかってくるからです。
着工までの期間の遅延
長期優良住宅と認定されるためには、申請し、審査をしてもらわなくてはなりません。そのため、長期優良住宅を建築する場合には、建築に関しての申請を行う公共団体である、所管行政庁の認定が出た後に着工する必要があります。
そのため、認定が出るまでに、一般住宅よりも長い期間がかかってしまうことが想定されます。おおよその期間は、一般住宅よりも1週間から1ヵ月ほどかかってきます。またそれ以上の期間がかかってしまうこともありますので、その期間も加味した上で検討しましょう。
定期点検とメンテナンス
長期優良住宅は、建てておしまいではありません。建てた後の定期的な点検と、メンテナンスも必要不可欠とされています。住宅が完成した後「維持保全計画書」と呼ばれる計画書を元にして、定期的な点検が行われなければなりません。
点検した上で、もし補修すべき箇所が見つかってしまった時には、きちんと補修していくことも条件になってきます。ここで維持保全をしなかった場合、長期優良住宅の認定を取り消されてしまう可能性もありますので、注意しておきましょう。
長期優良住宅に向いている人

では、長期優良住宅を建てるのに向いている人はどのような人でしょうか。
まず、長期優良住宅は長きにわたって住むことを想定して作られている快適な住宅になります。そのため、その住宅で長期間生活していく人にとってはとても快適な住まいとなります。初期費用はかかるかもしれませんが、性能が高いため、その後のメンテナンス費用が安く済むと言うメリットもあります。
どんな年代の方にとっても長くストレスなく、健康的に過ごせる家である事は重要なことです。何世代にもわたって長く愛される家になるでしょう。
また環境に配慮したい人にとっても良い住宅です。再生可能エネルギーの利用や断熱性などにより、CO2の削減にもひと役買ってくれます。
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まとめ
長期優良住宅についてお分かりいただけたでしょうか。メリット・デメリット、いろいろな認定基準がありますが、大切なご家族が、長く快適に、そして健康的に暮らせる機能を兼ね備えているのが長期優良住宅です。
暮るみでは、すべての住宅において長期優良住宅の認定を取得しています。さらに、耐震等級については、全棟で耐震等級3を確保しており、強固な構造でお客様に安全な住まいを提供しています。安全性と快適さを兼ね備えた、健康的な住まいをこれからもお届けし続けます。
お客様の健康・快適のために、必要不可欠な施工を行っていたら、必然的に長期優良住宅になっているという形です。また、長きにわたって健康に住めるお家の「家守り隊」として、建てた後もお客様の味方であり続けたいと思っています。
見学会や相談会等でもお話を伺っておりますので、ぜひお越しください。