地鎮祭とは?準備・流れ・費用まで完全ガイド
皆さんは地鎮祭という言葉を聞いたことがあるでしょうか。新築でお家を建てる方は、地鎮祭を行ったほうがいいのか、やらなくてもいいのかなど不安になられる方も多いかと思います。
地鎮祭は、工事に着工する前の段階で、神様に対してお供え物をしたり、その場所をお祓いして清める儀式になります。日取りや用意するものなど、具体的にどのようなことをしたらよいか、迷われる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
地鎮祭の具体的な意味や目的、詳細を知ることで、理解を深めていきましょう。
地鎮祭とは?意味や目的
では、地鎮祭とはどのような意味や目的があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
地鎮祭とは、住宅などの建物を建てる着工の前段階で行う儀式です。
地鎮祭をすることによって、工事中に危険なことがないようにと安全祈願ができます。また、その建物が災いなくその場所に永く建っていられることの祈願、そして、そこに住む人の健康や安全の祈願をすることを目的に行われます。
地鎮祭について簡単にご説明しますと、建物の工事の着工前に、その場所に神主さんをお呼びして神様にお供物をしたり、祝詞をあげることにより、お祓いしてその土地を清める儀式になります。
読み方としては「じちんさい」と読みますが「とこしづめのまつり」と呼ばれることもあるそうです。「鎮」という漢字は「鎮静」という言葉にも使われているように、災いが起こることを鎮める意味合いがあります。
地鎮祭の歴史
地鎮祭には、古くからの歴史があります。やはり建物を建てるときの工事中の安全や、住む人たちの安全や健康を願う気持ちは昔から同じで、地鎮祭は、昔から行われている儀式です。
驚くことに日本最古の歴史書とも言われる日本書紀の中にも、地鎮祭について書かれているそうです。東大寺金堂や興福寺といった、古くから建てられている歴史的な建物の敷地からも、地鎮祭のときに使われたとされる道具が発見されているそうです。
このことから地鎮祭には古い歴史があることがわかるとともに、宗教に関わらず、安全を祈る大切な儀式として受け入れられてきたことがわかります。また、今のように民家として新築で家を建てる際の一般的な儀式として発達してきたのは、江戸時代後半からと言われています。
地鎮祭の日取り
では、地鎮祭に適している日取りはあるのでしょうか。地鎮祭は、一般的に縁起がよいとされる日に行うことが推奨されます。冠婚葬祭など大事な行事を行うときには参考にされる方も多いと思いますが、大安、先勝、友引などの文字がカレンダーに書かれているのを見たことがあるでしょうか。
地鎮祭も、そのような縁起のよい日の午前中に行うのがベストとされています。あくまでも縁起がよいと言われているだけなので、お仕事などスケジュールの都合がつかない場合は、ほかの日にしてしまっても差し支えはありません。
どうしてもこの日という希望がある方は、縁起のよい日は早く埋まってしまいやすくもあるため、早めに依頼する神主さんや、建築メーカーの方と連絡を取り合ってスケジュールを調整し、決めましょう。
地鎮祭の費用や準備するもの
では、地鎮祭の具体的な費用や準備していくものにはどういったものがあるのでしょうか。
地鎮祭にかかる費用
地鎮祭にかかる費用は、玉串料と呼ばれ、神主さんに支払います。初穂料と呼ばれることもあります。玉串料の相場は2万円から5万円程度です。この金額は依頼する神社によってさまざまとなりますので、事前にしっかりチェックをしておきましょう。
玉串料の用意の仕方としては、まずご祝儀用ののし袋を用意します。蝶結びののし袋にお金を入れ、表書きの上部分に「御玉串料」と記入し、下の部分に施主の名前を記入します。中袋には入れた金額を漢字で記入し、裏には住所と氏名を記入しましょう。
また、それとは別に、神主さんが車で来られる場合などには、お車代として、5千円から1万円程度を用意しましょう。渡すタイミングとしては、当日、地鎮祭が始まる前までに渡すのがよいでしょう。
地鎮祭のお供え物
地鎮祭にはお供え物がつきものです。ではどのようなものを用意したらよいのでしょうか。
具体的には、お米、お酒、海の幸(魚や昆布といった乾物類)が3種類、山の幸(果物)が3種類、お塩とお水です。お米は事前に洗っておき、ザルにあげておきます。水気も拭き取って乾かしておきましょう。お酒にも熨斗がつけられますので、販売店に聞いてみましょう。
海の幸は「めでたい」になぞらえて鯛を用意するのが一般的ですが、お頭付きであるならば、ほかの魚でも大丈夫です。山の幸はトマトやにんじん、大根などが一般的です。そして榊を5本程度、お神酒をいただく升と湯呑みを人数分用意しましょう。お供え物を置く半紙は20枚程度用意しましょう。
ただし準備するものに関しては、依頼先によりけりなところもありますので、事前にどのようなものを用意したらよいのか確認をしておきましょう。
地鎮祭に招待する人
地鎮祭にはどういった人を招待するべきでしょうか。基本的に地鎮祭に出席する人は、施主となるご家族様と施工会社です。家族のうち、誰かが参加できないということになっても問題はありません。
そのほか、特別に誰かを招待しなくてはいけないということはありませんが、地鎮祭の後に宴会などをする場合、工事に関係した人たちが出席するのが一般的です。その際は、玉串料のほかに数千円程度のご祝儀などを渡すケースもあります。
地鎮祭の服装
地鎮祭の服装には、何か決まりがあるのでしょうか?特別、こうでなくてはならないという服装はありませんが、儀式の場ですので、フォーマルな格好が望ましいでしょう。
しかし、冠婚葬祭で着るような、かしこまったスーツ等でなくても問題ありません。男性であればジャケットや、ネクタイを締めた格好、女性であればワンピースなどで充分です。派手な格好ではなく、上品さや清楚さを意識した装いにするとよいでしょう。
また、結婚式場などと違い、地鎮祭は住宅着工前の土地ですので、砂利や土の上を歩くことになります。動きやすい靴や服装も意識しましょう。地鎮祭の後にご近所さんへ挨拶まわりをすることも多いため、動きやすさも重視しましょう。
地鎮祭当日の設営準備
地鎮祭の開催には、テントの設営があります。ここでは、ひとつのやり方としてご紹介いたします。
まず、地鎮祭を行う敷地の中にテントを組み立てます。テント内にブルーシートを敷きます。ブルーシートがあることで、悪天候の場合なども足元が汚れず、スムーズに儀式を進めることができます。その上に盛り砂をします。
基本的に南側を入り口としたうえで、紅白幕を三方向に巻きます。その後、祭壇を作ります。榊や海の幸、山の幸など、お供え物を置いていきましょう。その後、椅子を並べて完成です。
また、この設営は施主ではなく、建設会社、神主さんなどが中心となって設営してくれることもあります。地域、文化によってもやり方に異なる点があります。どこからどこまで設営の準備をするかは、事前に話し合い、よくチェックしておきましょう。
地鎮祭の流れ
では、この章では、具体的な地震祭の流れについて見ていきましょう。
まずは地縄立会いから
地鎮祭を始めるにあたって、まずは地縄立会いという工程があります。一般的に施工業者が地面に杭を打ち、ロープを張る作業をします。こうすることで建物の位置が確認できます。とても重要な作業でもあります。
この確認する作業のことを「地縄立会い」といいます。多くの場合では、この地縄立会いは地鎮祭のときに一緒に行います。
一般的な地鎮祭(神式)の流れ
ここでは、一般的な地鎮祭の流れをご紹介いたします。まず修祓(しゅばつ)と呼ばれる儀式から始まります。参列者やお供え物をお祓いし、清める儀式です。
その後、降神(こうしん)と呼ばれる、その土地の氏神様を迎える儀式を行います。その後、献饌(けんせん)と呼ばれる、神様にお供え物を食べていただく儀式を行います。その後にいよいよ祝詞奏上(のりとそうじょう)です。ここに建物を建てますよと神様に告げることで、工事中の安全を祈願します。
終わると、四方祓(しほうはらい)という、土地の四隅をお祓いをし、清める儀式をします。そして、施主が斎鍬(いみくわ)で、鍬入れの真似事をするなどの地鎮の儀式をします。そして玉串を神様に捧げる玉串奉奠の儀式を行います。
その後、神様は帰られるため、撤饌(てっせん)という、お酒やお水の蓋を締める儀式を行います。神様がお帰りになるための昇神(しょうしん)の儀式を終えた後、神職退下(しんしょくたいげ)を行い、地鎮祭は終了となります。
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終了後はご近所へ挨拶回りを
一般的には地鎮祭が終了した後にご近所さんへ挨拶回りをします。なぜ、ご挨拶をするかというと、これから住宅の工事が始まりますということ、大きな音が出てしまったり、埃などの害があること、大きな工事車両が出入りすることで、周辺道路に迷惑をかける可能性があることなどを伝えるためです。
家の両隣や、裏の3軒、向かいの3軒まで行うのがマナー上、望ましいでしょう。先ほどの章でも説明したように、地鎮祭にあたってフォーマルな服装をしていますから、地鎮祭の後にご挨拶まわりに伺えば、失礼になることなく「これから工事でご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」という誠実な印象を与えることもできるでしょう。
地鎮祭をしなくてもいい?現代の地鎮祭事情
ここまで地鎮祭の流れや必要なものについて見てきました。しかしながら、地鎮祭は新築の住宅に必須のものではありません。地鎮祭は実際のところ、しなくてもよいのでしょうか。地鎮祭の実情についてお話したいと思います。
開催するかは施主の自由
地鎮祭はお金がかかるからやりたくないという方も、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。地鎮祭は必須ではないので、やらないと決めた方は、やらなくてもよいものです。
しかし、家づくりには心配事もつきものであり、とくに「工事中に何かあったらどうしよう」「本当にこの土地に建ててよいのだろうか」と心配される方も少なくありません。地鎮祭という儀式の形で神様にお祈りすることで、そういった不安を払拭して気持ちよく工事に臨むことができます。
また、工事関係の方達と顔を合わせ、話をすることができるのも地鎮祭を実施することの魅力です。これから一緒によい家を作っていきましょうという意思確認の場、気持ちをひとつにする場にもなります。
地鎮祭の代替案
地鎮祭に似た儀式として、上棟式があります。上棟式は、着工前ではなく、建築途中の段階で、工事の安全や、その家に住む方々の安全を祈祷する儀式です。お祓いをしたり、お米を供えたりなどします。地鎮祭は行わず、こちらの上棟式のみを行うという考えの方もいらっしゃるでしょう。
神主さんを呼ばないで、施主が塩を撒いたりするのみで済ませるといった、簡略化したやり方をされる方もいらっしゃるようです。
また、竣工式と呼ばれる儀式もあります。この竣工式は、工事が完了した後に行うものです。無事に工事が終わったことを祝う意味合いがあります。こちらは個人の住宅ではなく、学校等といった大きな建物に対して行うことが一般的です。
主催する建築会社に相談を
地鎮祭をやらなくてもいいのか?上棟式のみにするのか?あるいは地鎮祭を行うにしても、どこまで設営の用意をするのかは主催する建築会社に相談してもよいでしょう。建築会社がほとんどの準備をしてくれて、思っていたよりも簡易的な準備だけで済む場合もあります。
地鎮祭を行うには費用もかかります。悩まれている場合には、主催する建築会社に相談をして詳しくお話を聞いてからでもよいかもしれませんね。
まとめ
地鎮祭について、おわかりいただけたでしょうか。地鎮祭は、どうしてもやらなくてはならないという強制的なものではありませんし、費用も発生してくるものですから、ご家族で話し合い、やるかやらないかを検討されてもよいと思います。地鎮祭に使うための費用を、建築に関するほかの部分に充てるという発想もあります。
また、たとえば地鎮祭はやらないけれど、上棟式のみにするなど、自由な考え方でよいものです。しかし、地鎮祭を行うことによって、そのこと自体良い記念になったり、工事を行う人たちとの親交が深まったりと、プラスになることもたくさんあります。
地鎮祭や上棟式についてなど、暮るみからもお答えできますので、詳しく知りたい方はお気軽にご連絡ください。